羽生結弦ケガの具合と金メダルを獲れた理由、ジャンプ構成をみる/平昌五輪
投稿日:2018年2月18日 更新日:
羽生結弦選手が、3ヶ月の空白を経て、平昌オリンピックで金メダルを獲りました。
ケガをしてしまった羽生結弦選手にとっては、とても辛い3ヶ月だったと思います。
そんな羽生結弦選手を、長年取材してきた田村明子さんのお話から、金メダルを獲った羽生結弦選手が、本当はどんな状態だったのか、金メダルを獲るために、どのようなことをしたのかをまとめました。
田村明子さんのお話
田村さんは、長年羽生結弦選手の取材をしてきたライターで、13日の平昌五輪、公式記者会見では通訳も務めています。
長年羽生結弦選手を取材してきた田村さんは、羽生選手の変化に気がついたそうです。
平昌での練習で気がついた羽生選手の変化
・非常にセーブして、慎重にペースを作り練習をしていたので、以前の状態までは戻していないと思った。
・いつもは会見までに、きちんと自分の言葉を作ってくるが、今回は考えながら話していた感じがした。
・いつからジャンプを飛び始めた?という質問に、スマホを取り出しカレンダーを取り出して確認した。
・普段やっていた会見の準備もできないほど、調整でいっぱいいっぱいだったのではないかと感じた。
田村さんのお話をまとめると、試合前の羽生結弦選手の状態は、決して良くはなくて、平昌に入ってからも、調整に没頭していたのだと思います。
羽生結弦選手自身、最後まで構成に悩んで調整していたと言っていました。
今回の構成になったのは?
最後まで構成に悩んでいた羽生結弦選手が、今回の構成にしたのは、リスクを減らし、完成度で勝負するという戦略にしたのだと思われます。
ジャンプの難易度
4回転ジャンプは、難易度の難しい順に、次の通りです。
①アクセル
②ルッツ
③フリップ
④ループ
⑤サルコウ
⑥トウループ
ショートの構成
ショート冒頭の4回転は、
4回転ループ → 4回転サルコウに変更
リスクを避けて、完成度を重視した結果です。
ショート演技終了後のインタビューでは、次のようにコメントしています。
事前の練習をずっとサルコウでしていた。調整も間に合っていなかった。点数には満足しているので、サルコウにしてよかった。
フリーの構成
フリーの4回転ジャンプは、
・トウループ
・サルコウ
この2つだけでした。難易度は低いです。
でも、世界最高得点(330.43)を出したときも、4回転はトウループとサルコウだけの構成でした。
難易度が低いジャンプでも完成度を高めれば十分得点が稼げます。
実際、冒頭の4回転サルコウとトウループは、GOEを満点の3.00をとっています。
難易度は下げても演技の完成度をしめす演技構成点はトップです。
1.羽生結弦 96.62
2.フェルナンデス 96.14
3.宇野昌磨 92.72
金メダルを獲るために
今までは常に新しい挑戦を続けてきた羽生結弦選手ですが、今回は今の状態で、自分ができるもので勝負するという戦い方に変えたことで、金メダルを獲りにいきました。
しかも冬季五輪史上1000個目の金メダルということで、やっぱり何か持っています。
羽生結弦物語、伝説ですね。
今回の戦い方をみて、2010年バンクーバーのオリンピックで、金メダルを獲ったライサチェック選手を思い出しました。
当時は選手たちが4回転に挑戦を始めた頃でした。
上位の選手がリスクのある4回転に挑戦するなか、ライサチェック選手は4回転を飛ばず、安定した滑りで金メダルを獲りました。
羽生結弦選手の性格からすると、レベルを落として滑ることを受け入れるのは、辛かったのではないかと思います。
自分の持っているものを全て出し切って、完璧な滑りをしたい、そう思っていたと思います。
そう言った思いをすべて捨てて、金メダルを獲るためだけにこの3ヶ月間、調整してきたのでしょう。
演技後のインタビューで、
この会場で滑ることができてほっとしている。
自分がやり切れたと思える演技ができたことがよかった。
右足が頑張ってくれた、ケガで練習できなかったので沢山の人に心配をかけた。
今まで以上の強い応援、サポートがあったので恵まれていた。
そう言っています。
羽生結弦選手にとっては、今できる中では、やり切れたと思える演技だったのですね。
選手自身が、納得のいく演技ができることが一番だと思います。そう思える演技ができて本当に良かったです。
羽生結弦選手は、この後、足首の状況が分からないのでまずは検査を受けると言っていました。選手生命にかかわることなので心配です。
しっかり治して、また素敵な演技をみせて欲しいな、と思います。
それでは、
最後までお読みいただきありがとうございました。