ラプラスの魔女 原作のあらすじ・後編/櫻井翔主演映画化
投稿日:2018年2月12日 更新日:
引き続き、「ラプラスの魔女」原作のあらすじ後編です。
あらすじ3部作のうちの2つ目です。
前編はこちらをごらんください。
事件の全貌と犯人は、最後の「事件の真相編」で書いています。
原作 あらすじ(後編)
硫化水素
硫化水素は大気よりも重いため、地面の窪みなどに滞留しやすい。
無風状態が一定時間続けばガスが溜まり、濃度が高くなる可能性がある。
ただ、通常は大気中に拡散され致死濃度に達することはまずない。
青江修介
青江は地球化学専門の学者で、泰鵬大学地球化学科で環境分析化学を教えていた。
赤熊温泉の事故
青江は赤熊温泉の事故について、警察の捜査に協力をしている。
原因を究明し、事件ではなく事故であることを検証するためだ。
赤熊温泉では今までに火山ガスによる事故は起きたことがない。
青江は現地で1ヶ月ほどデータをとったが、死に至るような濃度に達することはなかった。
だが、人為的にこの事故を起こすことはあり得ないと思っている。本人も中毒になる可能性があり、また何の痕跡もなかったからだ。
現場は窪地だった。
どこかで発生した硫化水素が風でこの場所に流されて、偶然この場所で風向きが変わり、偶然この場所に一定時間硫化水素が滞留し致死濃度に達する、そしてその瞬間、偶然そこに人がいた、と考えるしかない。
屋外という条件で、この場所の硫化水素の濃度が致死量に達する可能性はあまりに低く、そこに人がいる偶然はほぼゼロに近い。学者としての青江は、そんなことはあり得ないと思っている。
青江は、事故の原因が特定できずにいた。
調査に入ったこの時期にはすでに雪が降っており、関係者と雪が積もった赤熊温泉の現場に足を運んだ際、ピンクのニット帽をかぶった若い女性と出会う。
女性は、「事故現場はこの先か?」と青江たちに尋ね、足早に姿を消した。
苫手温泉の事故
苫手温泉でも赤熊温泉同様の事故が起きた。
青江は、北陸毎朝新聞の内川という女性記者から、この事件の調査を依頼される。
青江が赤熊温泉の事故を調べていると知って、依頼してきたのだ。
現場には雪が積もっていた。他に足跡がないので連れはいなかったらしい。
現場は木や雪に囲まれており、硫化水素が滞留する可能性はあった。
ただ、今まで事故は起きたことがなく、遊歩道では硫黄の匂いが漂ったこともないという。
また、赤熊温泉同様、屋外のこの環境で硫化水素が致死濃度に達することがあるのだろうか?と青江は疑問を感じている。
内川に調査に必要な地形や当日の天候などのデータを、宿泊先に届けてくれるよう依頼し、青江は宿に向かうことにする。
宿に行く途中、赤熊温泉であった若い女性を見かける。ピンクのニット帽をかぶった彼女だ。
青江は気になり声をかける。
彼女は青江と同様、赤熊温泉と苫手温泉の事故を調べているらしい。
彼女は素性を知られたくないらしく、何を聞いても答えない。
青江は気が変わったら訪ねるようにと、自分が宿泊している宿を教えた。
ピンクのニット帽の女性
その日の夜、意外にもピンクのニット帽の女性が、青江を訪ねて宿にやってくる。
名前を羽原円華といい、父は医者だと言った。それ以外は教えない。
円華は若い男を探しており、理由は言えないが、苫手温泉の現場をみせて欲しいというのだ。
青江は彼女に押し切られ、仕方なく現場へ行った。
現場は雪が積もっており、規制線の内側へ入れば足跡が残ってしまう。
円華はこの後雪が降るから大丈夫だといい、現場まで行ってしまったため、青江も後に続いた。
そしてその夜雪が降り、足跡は消えた。
青江修介と中岡祐二
中岡は、赤熊温泉で亡くなった水城義郎は事故ではなく、妻の千佐都に殺害されたのだと思っていた。
中岡は現場を調べている青江のところにやってきて、硫化水素で殺害する方法はないかと尋ねる。
中岡は硫化水素を使って殺害する方法をいくつも提案するが、青江はどの方法も無理だと説明する。
だが、中岡の訪問により、青江は赤熊温泉の事故が、単なる事故なのだろうかと引っかかるようになる。
そして苫手温泉の事故が起き、甘粕才生のブログ(次で書いています)を読んだことで、赤熊温泉と苫手温泉の事故は、単なる事故ではないのかもしれないと思うようになる。
青江と中岡は二つの事故の関連について調べるようになる。
青江は事件だという可能性はないと思っていた。
だが、もし人為的に起こされた事件なら、青江は学者として誤りを正さなければならない。
学者として、真実を知りたかった。
甘粕才生(あまかすさいせい)
青江は、赤熊温泉と苫手温泉の二つの事故の被害者(水城義郎と那須野五郎)が二人とも映像関係者という点に目をつけ調べるうちに、「甘粕才生」という人物にたどり着く。
甘粕才生は映画監督で、あるブログを書いていた。
才生には、妻由香子、娘萌絵、息子の謙人がいた。
ブログによると、自分が留守の間、娘の萌絵が硫化水素で自殺を図り、妻も息子も巻き添えになっていた。
娘の萌絵と妻の由香子はその場で死亡が確認され、謙人は植物状態になったという。
開明大学病院、脳神経外科の羽原全太郎博士は脳神経細胞再生の第一人者で、画期的な手法を編み出していた。
謙人は羽原博士の手術を受け、奇跡的に回復する。
だが記憶だけは戻らず、父の才生のことを思い出すことはなかった。
才生のブログは、仕事に没頭して家庭を顧みなかったことへの反省と、家族への愛情に溢れていた。そして家族も才生を尊敬していたことが伺われた。
そのブログから6年以上が経っていた。
才生も謙人も、今どこで何をしているのか分からなかった。
青江は、甘粕才生が硫化水素によって家族を失ったことが引っかかった。
そして、このブログから、甘粕謙人を治した羽原博士は、羽原円華の父だと知る。
このあとは「あらすじ(事件の真相編)」になります。
そちらで、事件の全貌と犯人を書いています。
お読みいただきありがとうございました。
よろしければ、引き続きお楽しみください。