羽生結弦金メダルの作戦・秘策「クリーンに滑る」で連覇!GetSportsより/平昌五輪
投稿日:2018年2月26日 更新日:
「怪我をしてから3ヶ月間、本当に試合を見るだけだったし、スケートも滑れない日々がすごく長くて、きつい時期を過ごしました。」
会見で羽生結弦選手が言った言葉です。
その困難を乗り越えて、オリンピックで連覇を果たしました。
このオリンピックでの戦いは、「作戦が大事」だと羽生選手が言っていました。
その作戦とは「クリーンに滑るプログラム」。
どんな作戦だったのか、番組「Get Sports」で語られた内容をまとめました。
羽生選手のオリンピック連覇に向けての言葉
羽生選手は試合前に、今回のオリンピックについて
「作戦がすごく大事だと思っているので、クリーンに滑れば絶対に勝てる自信はあるし、そういうふうに本当に思っているので、クリーンに滑るプログラムを何にしていくのかは、これから徐々に調子を上げていく中で決めたいと思っています。」
と語っています。
その作戦、「クリーンに滑るプログラム」についてみていきたいと思います。
羽生選手の本音
まず羽生選手のケガの具合と、オリンピックまでの3ヶ月間についてです。
氷上練習は年明けでした。
オリンピックまであと一か月という状況です。
羽生選手はあとのインタビューで、
「体力に関しては非常に不安でした。フィギュアスケートは陸上でできるものでもないですし、スケートの感覚であったり、そういう不安はありました。」
と語りました。
現地に入ってからの公式練習では、怪我を感じさせない完璧な滑りを見せてくれました。
それを見たコメンテーターの人達は、「治ってますね」と「状態はよいのでは?」と言っていましたが、実は完治はしていなくて、痛み止めを飲んでの練習でした。
そしてジャンプやスピンなどの技というよりも、スタミナのことが一番心配だったのです。
クリーンに滑るプログラム
ショートプログラム
「クリーンに滑るプログラム」のショートプログラムについて見てみます。
冒頭に跳んだのは4回転サルコウ。
予定では、4回転ループを予定していました。
このループジャンプは、スケート選手の中で、羽入選手が最初に成功させたジャンプです。
羽生選手も思い入れはあったと思います。
でもループではなく、サルコウを選択しました。
ループの基礎点とサルコウの基礎点では、サルコウの方が1.5点低いです。
リスクを伴うジャンプで高得点を狙うのではなく、確実に飛べるジャンプをクリアに跳んで、加点で点数を伸ばす、「クリーンに滑るプログラム」という作戦をとりました。
この作戦は功を奏し、ショートプログラムでは首位でスタートしました。
サルコウなら、踏切も両足なので、右足への負担が少し減らせるのかな、と思いました。
ショート後の羽生選手の言葉
ショートプログラム後のインタビューで羽生選手は、
「ここに来る前にずっとサルコウで練習していたので、色々と調整が間に合わなかった部分もあったのかなあと思いますけど、点数には満足しているのでサルコウにして良かったと思っています。」
と言っています。
「調整が間に合わなかった」という言葉に、何となく不安を感じました。
それに首位発進で「点数には満足」と言っていますが、笑顔はありませんでした。
久しぶりの試合でショートを滑り切って首位発進、本来なら「これなら行ける!」とホッとするような気がします。
でも、足の具合はよくなかったし、体力面でも不安があり、そのプレッシャーと闘っていたのですね。
フリープログラム
ショートプログラムは2分40秒ですが、フリープログラムの演技時間は4分半です。
その間に8回ジャンプを跳ばなければなりません。
羽生選手は、これを最後まで滑りきる体力に不安を感じていました。
現地入りした後の公式練習でも、8回の全てのジャンプを跳ぶことはありませんでした。
その不安の中、フリーの演技が始まります。
冒頭の4回転サルコウと4回転トウループは素晴らしく、どちらもGOE満点の3.00です。
そして、スタミナが心配だった後半、5つ目のジャンプは4回転トウループと3回転サルコウのコンビネーションでしたが、着氷が乱れて4回転トウループのみになってしまいます。
でも、その後のジャンプをコンビネーションにしてフォロー。
もう1カ所のミスは、演技最後の3回転ルッツでした。
ルッツジャンプは怪我の原因となったジャンプです。
ルッツは右足で蹴り出すため右足への負担も大きいです。
このルッツジャンプ、着氷が乱れましたが、ここもなんとか踏ん張り、手をつくことはありませんでした。最小限の減点で済ませたのです。
スタミナ不足だったのは確かだと思います。
そのスタミナ不足を気力で補った、そう感じました。
誰よりも金メダルを獲ることにこだわっていた意地のように感じました。
羽入選手自身も、手をつかなかったのは「意地」だと言っていました。
フリープログラムでは、ジャンプ2カ所にミスがあったものの、冒頭の4回転サルコーと4回転トウループは完璧に決めました。
基礎点こそ低いものの、加点を加えればルッツの基礎点に迫る勢いです。
リスクのあるルッツを跳び減点をもらうよりは、確実に決めて加点をもらうという戦略です。
「クリーンに滑るプログラム」で、金を引き寄せました。
参考:ジャンプの基礎点
難しい順に、次のようになっています。
①ルッツ、13.60
②フリップ、12.30
③ループ、12.00
④サルコウ、10.50
⑤トウループ、10.30
金メダルを獲った後の会見
メダル獲得後の会見で羽生選手は、
「とにかく本当に右足が頑張ってくれたなあと思いました。」
「トリプルルッツが飛べるのもギリギリだった。痛みとの戦いの中、なんとか飛べるようになった、というジャンプだった。」
「右足には感謝です、感謝の気持ちだけです。」
と言っています。
そんな状態で、本当によくフリーまで滑れたと思います。
オリンピック前、1ヶ月しか滑ることができなかったけれど、「ジャンプは体が覚えていた」と言っています。
スケートに出逢ってから今まで、いかに沢山の時間をスケートと過ごしたか、いかに情熱を注いできたか、子供の頃の夢「オリンピックで金メダルを獲る」を忘れずに過ごしてきたかを感じずにはいられませんでした。
「怪我をするまで本当に順風満帆で、うまくいっていたとしたらオリンピックで金メダルは取れていない、そう言ういろんな経験があったからこそ、それが生かせたのが今回の怪我からの復帰だと思っています。」
「これからの人生オリンピックの金メダリストとしてしっかり全うしたいと思います。」
目標だったオリンピック連覇を成し遂げて、この後の羽生選手の滑りが楽しみです。
どうか早くケガがよくなりますように。
私だったら心が折れてしまうような状況ですが(^^;)、それをプラスにとらえて、「いろんな経験があったからこそ」と言えるのが、凡人とは違うところ。
体と同じだけ心も鍛えないと、夢は叶えられないのだと思いました。
最近ますます緩んできた体…私はまず、体を鍛える必要があるかもしれません(^^;)
それでは、
最後までお読みいただきありがとうございました。